藤井風氏がモデルの恋愛小説の執筆を断念しました

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バレンタイン

バッドエンドの藤井風恋愛小説は需要がない?

常々藤井風氏をモデルに短編小説を書きたいと思っていたのですが、某風友氏のひとことがきっかけで断念することにしました。

その小説は「ある女子が藤井風氏と同棲しているのだが、彼女はMVなどのカッコいい風氏しか好きではなくふにゃふにゃした普段の風氏をまったく好きになれない。凛とした風氏は本番にしか現れないので一向に会えない。辛くて耐えられないので別れを選択する」というものです。

この話を先日、何気なく某風友氏に語り「そして辛すぎるから別れるの」と結末を話すと彼女は間髪入れずにこう言いました。
「えーーやだ」
そう、私はすっかり忘れていたのですが、多くの人々はハッピーエンドが大好きです。しかし私は終わり方が複雑なフランス映画が好きなのでした。フランス映画はバッドエンド、又は幸せなのか不幸なのかわからない状態で終ることがよくあり、私はこの終わり方が好きで、それはなぜかと言うと「リアル」だからです。
ともかく、彼女は「えーやだ」の次にこう言いました。
「ハッピーエンドにして」
「世の中の多くの人がハッピーエンドを求めている」だろうことを改めて認識しました。でも私はハッピーエンドを書くつもりは毛頭ないのです。仕方なくこの小説の執筆を諦めました。

バッドエンドの藤井風恋愛小説は需要がない。(多分)

これが仏映画好きな私に突きつけられた残酷な現実でした。その代わりにこの顛末をブログに書くことにしたのです。

FreeLive藤井風氏

pic:Fujii Kaze YouTubeより
このブログは実際の藤井風氏とは関係ありません

小説の登場人物とあらすじ

登場人物

河津知世(かわづともよ)—-東京在住の26歳、管理栄養士。

高井星(たかいほし)——-岡山県出身のミュージシャン。名前が違うだけでその他は100%藤井風。

 

あらすじ

ある日の仕事帰り、知世は近所のドン・キホーテに寄る。そこで隣にいた男が持っていたリュックからほうじ茶が漏れており知世の白いスカートがほうじ茶色に染まる。謝る男。知世はそのふにゃふにゃした方言の男に嫌悪感を抱き即座にその場を去る。

知世は実はミュージシャン高井星のファンだった。しかし知世はMVのカッコいい星しか見たことがなかった。

それから何度もドン・キホーテで知世はその男に会った。男は謝罪しスカートを弁償したいと申し出たが関わりたくないので適当にあしらっていた。どうしてこんなに何度もドン・キホーテで会うのだろう。知世は知らなかったが男はいつも忙しい仕事の合間を縫って彼女に会えそうな時間に店に来ていたのだ。男は知世に一目惚れをしていた。彼はいつもピヤホンで何かを聴いていた。

知世はある日「そう言えば私MVしか見たことないわ。星くんってたくさん動画上げてるのよね」と配信ライブを見てみた。そこにはたどたどしく岡山弁を喋る別人のような男が映っていた。

「えっえっ何これドンキ君!?!?この喋り方・・・間違いなくドンキ君!」

知世はドン・キホーテで時々会うホワホワ男子を「ドンキ君」と呼んでいた。そしてどう見ても星はドンキ君であった。混乱した知世はその夜眠れなかった。

知世にはトラウマがあった。高校生の時、長身のふにゃふにゃした方言男子にいじめられたのだ。どこの方言だったかまったく覚えていなかったが彼女にとっては「方言の長身男子=イヤな記憶」だった。そのせいで最初からドン・キホーテで出会ったその男に嫌悪感を抱いた。しかし彼が高井星だったのだ。どうしよう。どうすればいいのだろう。

あくる日知世が戸惑いながらドン・キホーテに寄るとそこには半額のお惣菜を凝視する星がいた。知世が近づくと星は仔犬のような瞳で挨拶をした。メガネをかけマスクをしていたがじっと覗き込んで見るとそこには立派な眉毛があった。

「この人が星くん・・・信じられないけど星くんなんだわ。ずっと一緒にいればカッコいい星くんに会えるかも!?」

そして2人の同棲生活が始まった。星の部屋は常に物が散らかっていて悲惨な状態だった。いつも鍋が落ちかけていた。星はいつも音楽を聴いて何かを考えている様子だった。よく夜に家族とビデオ通話をしていたが知世は気づかれないように黙って見ていた。
星は優しい男だった。家にいる時間は短かったが一緒にいる時は常に知世のことを気にかけた。星は愛の言葉も惜しみなく知世に与えた。「愛しとる」何度この言葉をもらっただろう。しかしカッコいい星は一向に知世の前に現れなかった。知世の目に映る星は老人のようでもあり幼児のようでもあった。「普通の人」これ以上星に似合う言葉はなかった。

知世は多くの星民が普段のぱっとしないモチモチした星も大好きなのを知っていた。しかし知世には消えないトラウマがあった。どうして私はあんな記憶に囚われているのだろう。どうして私はホワホワで野暮ったい星くんを愛せないのだろう・・・。知世はどうしても言い出せなかった。「星くん、私『ワシ』とか言うダサい星くんなんか好きじゃないの」そんなことは言えるはずもなかった。


ねそべり紅白のダサい藤井風氏

pic:Fujii Kaze YouTubeより
実際の藤井風氏とこのブログは関係ありません

あらすじ続き
2021年、年末。紅白歌合戦がやって来た。知世は1人家に残されテレビで中継を見ていた。サプライズ演出を聞かされていたので知っていたことが少し自慢だったがもちろん誰にも言わなかった。
出番が来て、ミッチャムにいると思わせ突然国際フォーラムに現れた星は「食えよ」を弾き始めた。その堂々とした姿、見事なピアノ演奏、惚れ惚れする歌声、カメラのレンズを見つめ歌う星を見ながら知世は涙を流した。

「カッコいい!!!
どこにいるのーー?!
会いたいよ!」

それは魂の叫びだった。確かにテレビの中にその人物はいた。スター性に溢れ自信に満ちたセクシーな美男は日本一の歌番組で公然とその大役を果たした。

年が明け明け方に黄緑のスリッパと共に帰宅した星はすっかり平凡な方言男子に戻っていた。紅白の舞台で見せたオーラはどこにもなかった。
「疲れとるけん、ゴメンな」そう言って星はすぐに眠ってしまった。そうだ、次の日にはねそべり紅白を控えているのだ。知世はそのだらしない寝顔を見ながら「カッコいい高井星には決して会えない」ことを悟った。

2022年1月2日、ねそべり紅白が配信されている間に知世は荷造りを済ませ星の部屋を出て行った。

私がこの小説で描きたかったこと

・恋愛の複雑さ。相手の嫌いな部分を受け入れることの難しさ
・トラウマが人間に与える影響の大きさ
・相手を変えることはできないということ
・人間の多面性
・高井星(藤井風)の普段の姿がかっこ良さとかけはなれているという残酷な現実
・”20代”という、人々が恋愛を繰り返す辛い時期の若者の心理

バッドエンドの藤井風小説は需要がないと判明しました。この小説が日の目を見ないことは作者としても非常に残念です。

実際のところ私は小説を書いたこともないし(藤井風140字小説は別)、小説の書き方を学んだこともほぼないので思いつきで書いているだけですが・・・ん?んん?

別にバッドエンドにしなくてもええんちゃうの?

すいません。このブログは行き当たりばったりに進行しております。
別にバッドエンドでしかこの世の真実を伝えられないわけではないし、ハッピーエンドの小説にしても面白いものが書けるんちゃうの?と今思いつきました。
それにここまで書いて来て分かったのですが、私が書きたいのはただただここだけだったんです。

「カッコいい!!!どこにいるのーー?!会いたいよ!」

ここです。ここが書けていたら作者の私は満足なのです。ということでこの小説をハッピーエンドにしてみました。

あらすじ(ハッピーエンドver.)

(前略 テレビで紅白を観戦したとこから)

「カッコいい!!!
どこにいるのーー?!
会いたいよ!」

それは心の奥底からの叫びだった。確かにテレビの中にその人物はいた。日本一の歌番組でその歌声と美貌を披露した男は自信に満ち溢れていた。

年が明け明け方に帰宅した星はいつも通りの冴えないどこにでもいる男子だった。そしてボロ雑巾のように疲れ果てていた。紅白の舞台で見せた輝きはどこにもなかった。

「疲れとるけん、ゴメンな」星はすぐに寝床に着いた。そうだ、次の日にはねそべり紅白を控えているのだ。

2022年1月2日、家で1人ねそべり紅白を見ながら知世は星との別れを覚悟した。そこに映っているのはいつも知世が一緒にいる高井星そのものだった。どうして星くんはあんなにカッコ悪いんだろう。いつもいつもカッコ良くいてくれればいいのに。

ねそべり紅白を終え帰宅した星に知世は初めて本当の気持ちを話した。

「星くん、ゴメン。私本番中の星くんしか好きじゃないの。ライブで歌ってる星くんやMVやテレビ番組でピアノ弾いてる星くんが好きなの。カッコいいから!私この部屋にいる星くんは好きじゃないの!ダサいから!」

星はのっぺりした顔で知世をまじまじと見つめた。

それは星にとっては、長年かけて培った”美”の技術が評価されたということだった。本番の男前な星は紛れもなく彼が造り上げた作品であり、研究の末生み出されたそのカッコ良い男も間違いなく星本人であった。星は喜んだ。たった一人で磨いてきたYouTube動画撮影の腕が絶賛されたような気がした。ワシ、そげんカッコええのか、良かった。ホンマに良かった。

「そうじゃったんか、気づかなくてゴメンな」

星はそう言って知世を強く抱きしめた。

それから星は時々、家でもカッコいい男に変身することにした。知世が疲れている時や不機嫌な時に星は別人のように色気を纏う美しい男となった。

知世は嬉しさのあまりその度に涙した。ずっとずっと会いたいと願っていたカリスマ性溢れる美男がそこにいた。それが例え限定的だとしても星は自分のために豹変してくれているのだ。だから普段の地味すぎる星には我慢しよう。いつもはおばあちゃんみたいだがそれは星の一面に過ぎない。私には最高にカッコいいイケメンの高井星がついている。知世‎は幸せをかみしめた。

 

紅白後の藤井風氏

pic:Fujii Kaze Twitterより
実在の藤井風氏とこのブログは何の関係もありません

私がこの小説(ハッピーエンドver.)で描きたかったこと

・大切な人には本当の気持ちを打ち明けるべきである
・望むものすべてを手に入れることはできない。足るを知ろう
(時々カッコいい星に会えるのなら普段のダサい星に我慢することも必要だ)

さいごに

小説の執筆は断念しましたが結局流れであらすじを2種類公開しました。
これで良かったのではないでしょうか。本当に小説を書き始めても果たして最後まで書けるかどうかわからないし、こういう形式で気楽に紹介できた方が良かったような気がします。

素人の妄想・・・ではなく小説のあらすじをお読みいただきありがとうございました。

(私が書いたんだけど)時々でもカッコいい星(風)くんと一緒に暮らしてるなんて知世ちゃん

ええのぉ。

このブログに登場する小説のあらすじはフィクションです。
実在のカッコいい藤井風氏ともダサい藤井風氏とも関係ありません。


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S. Hermann & F. RichterによるPixabayからの画像を使用しました。